腹式呼吸 -横隔膜・胸腔・腹腔-

腹式呼吸のメリット
  • リラックス効果:副交感神経を優位にすることで、気分が落ち着いてリラックスできます。

  • 免疫力が高まる:副交感神経にはリンパ球を増やす効果があり、病原体から身体を守る免疫力を高める作用があります。

  • インナーマッスルが鍛えられる:息を吸うたびにゆっくりと腹を膨らませることで、インナーマッスルが鍛えられ、お腹周りを引き締める効果が期待できます。

  • 大きな声を出しやすくなる:お腹の筋肉も使って空気をたくさん吸い込めるため、息を強く、長く吐けるようになり、声帯がより振動して、自然と聞き取りやすい声が出ます。

胸腔~横隔膜

腹式呼吸とは、ざっくり言うと横隔膜(おうかくまく)の筋肉を使った呼吸です。
息を吸い込む事は実は横隔膜を動かして、肺の風船が入った胸腔(きょうくう)という空間を広げている事なのです。

そうするとどうなるか?
胸腔が陰圧になって外の空気が吸い込まれます。
ちょうど注射器のシリンジを引いた時と同じです。
胸腔の中にある肺という風船が膨らむ事で空気が中に入ってきて呼吸ができるのです。
空気が入ってくることで肺が膨らむのではありません。

では息を吐き出す時はどうでしょう?
今度は胸腔を小さくする事で中の空気を押し出します。
横隔膜と胸の筋肉の力で中の空気を押し出すのです。

横隔膜~腹腔

この時横隔膜で仕切られた下側の空間、腹腔(ふくくう)ではどうなっているのでしょう?
息を吸い込んだ時はまず横隔膜が下がってきます。
すると、胸腔は大きくなり、逆に腹腔は小さくなるためお腹の中身の行き場がなくなります。
しかし、お腹の中身の大部分を締める腸(小腸・大腸)はお腹が膨らむ事で生まれる腹腔のスペースに逃げます
そのため息を吸うとお腹が膨らむのです。
では腹筋がシックスパックのように鍛えられていてお腹が出ないような人の場合、腸は何処に行くのでしょう...?

腸を動かす

実は腹腔内はある程度スペースに余裕が有ります。
腸の中には簡単に動ける腸内のガスがあるため、腸は柔軟に動きます。
そして、それらは一番動いていきやすい場所に移動します。
お腹の筋肉が緩んでいればそこに。
お腹が筋肉で締まっていれば、他の空いている空間へ動いていきます。
ヨガの達人がお腹をへこまして自由に腹筋を動かすシーンを見た事がありますか?
あれは腸を腹腔の空間へ自由に移動させる事ができるため成せる技なのです。
一般の人がそのような技を同様に行うのは難しいですが、他のやり方で内蔵を動かす事が出来ます。
その方法を行うには、まずお腹をリラックスさせる必要があります。


お腹をリラックスさせるには?

力を抜くか、力を入れる方法があります。
力を抜く方が簡単なように思えますが、以外と力を抜く事は入れる事より難しいです。
逆に力を入れる事はより簡単に出来ます。
そして力を入れる事で、その反動で以外と力は抜けるのです。
つまりお腹をリラックスさせるには、お腹に力を入れる方法が意外と早道なのです!
でも腹筋に力を入れることは、腹筋が弱っている人にとっては難しく感じるでしょう...

そこで、無意識に効率よく腹筋に力が入る方法を行います。
横隔膜の力を借りるのです。(横隔膜は筋肉のかたまり!)
つまり、呼吸を行います。
繰り返し大きく何度も呼吸します。
腹筋を動かすために横隔膜を動かすのです。
なぜなら、横隔膜の筋肉を動かそうとすると腹筋群にも力が入るためです。
呼吸を繰り返し行うことでだんだんと腹筋がリラックスしていきます。

腹式呼吸で腸を鍛える

ではまず、呼吸をして腹筋を動かしましょう。
息を吸ってお腹を膨らまし、吐いてお腹を引っ込るを繰り返し行ってください。
その呼吸をだんだん強くしていき、深呼吸を行ってください。
特に、吐く息をふぅーーーっ…と長くするようにします。
一気に吸って、細く長く吐くような意識で行いましょう。
吸って、吐いてー、吸って、吐いてー...
それを出来れば10分ぐらい続けて行います。
呼吸を繰り返すことで腹筋が鍛えられていきます。
さらに、中の腸も動かされるため、腸の運動も活発にすることが出来ます。
お腹を動かす腹式呼吸で横隔膜を動かす。
それを強く深く何度も行う事で腸も鍛える事が出来るのです。

まとめ

腹式呼吸は単なる呼吸と違い、トレーニングに近い呼吸法です。
ヨガや座禅など、古代から健康法としても行われてきました。
腹筋の強化、免疫力アップ、腸の調子を整える、メンタルの安定など多くの効果が期待できるため、ぜひ取り入れてみてください。
立ちながら、座りながら行ってもいいですし、仰向けに寝て行っても大丈夫です。
入眠時に腹式呼吸を行うと、そのままスーッと吸い込まれるように眠れるかもしれません…zzz